不死への恐怖

題材はインタビュー・ウィズ・ヴァンパイア [DVD]。まずはおもしろそうなトピックス。

  • 西洋における3大モンスターは吸血鬼・フランケンシュタイン・オオカミ男。その中でも、一番人気のあるのが吸血鬼。ドラキュラ伯爵のイメージをベースにしているので優雅。あと女性の首筋を噛むシーンがエロティック。
  • 吸血鬼に噛まれても、吸血鬼になるわけではない。噛まれた人間が吸血鬼の血を吸うことで吸血鬼になることができる。
  • アメリカでは、同性愛が禁忌なので、逆にゲイが多い。また、禁忌なので見てみたいという願望も強い。なので、インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア [DVD]にはトムクルーズ×ブラッドピットなシーンが存在する。

不死への恐怖

人類史上、現代ほど豊かな時代はなかった。ほとんどの時代は明日の食べ物にも困っていた。そういう生きていくことがつらい時代を、死後の世界に対して希望を抱くことによって生きてきた。

そこから不死に対する恐怖が生じた。特に、キリスト教圏では「不死」と「人間以外の存在」は同じ意味である。なので、インタビュー・ウィズ・バンパイアではimmortal(不死)を「人間ではない存在」と訳している。

吸血鬼伝説

吸血鬼はもともとヨーロッパで生まれた伝承なので、ヨーロッパの風土を反映しいる。

杭で心臓をさして殺す
伝説が生じたのがヨーロッパの田舎。だから杭はどこにでもあった。
十字架が弱点
キリスト教圏なので十字架も一般的。
ニンニクが嫌い
ニンニクには殺菌力がある。これはヨーロッパ関係ないかな?
銀が嫌い
ヨーロッパでは銀には殺菌力があると考えられていた。錬金術関連らしい。
太陽に当たると塵になる
夜に対するもの。ヨーロッパでは2つのものを対立させて考える。また聖書に生物は塵から作られ、塵に変えると書かれている。

キリスト教の死生観

カトリックのお祭りのひとつに謝肉祭、カーニバルがある。カーニバルでは思いっ切り肉を食べる。なぜならこのあと、40日後にある復活祭・イースターの日まで肉を食べることができないから。

カーニバルからイースターまでの40日間を四旬節という。そしてその四旬節の最初の水曜日(ash wednesday)には司祭によって顔に泥を塗られる。そして「あなたは塵から生まれ、塵に返る」と言われる。要するに「あなたはいつか死ぬ。だから今をがんばって生きなさい」と毎年いわれる。

仏教では、魂はなんどでもよみがえる(輪廻転生)。しかしキリスト教の考えでは、この世に肉体が存在するのはただの一度きり。死んだら天国か地獄に行くしかない。だから今をがんばって生きようという考えが生じる。(ジョーク:「天国と地獄の人口は過密だ」)

映画の舞台

映画の舞台は、カトリーナの上陸したニューオーリンズ

ニューオリンズは元々フランスの植民地だった。なので、アメリカのなかでも、もっともカトリックの文化を受け継いでいる地域。そのうえ、綿花を栽培するために黒人奴隷を多くつれてきているので、アフリカの文化も混ざっている。

またニューオーリンズには今も、クレオールというフランス系アメリカ人が多い。

北部や西部に住むアメリカ人からみてニューオーリンズはエキゾチックな地域。