東大寺法華堂

mzp2005-11-18

  • 東大寺の法華堂(三月堂)にある不空羂索観音菩薩像は奈良時代を代表する仏像
  • 仏教の世界では、神様も悩む。ただ人間より悩むことが少ないだけ
  • 東大寺を作ったのは大工じゃなくて、造東大寺司という専門の工事集団
  • 神様の像も"仏像"と呼ぶ

画像の出典は"平岡定海『東大寺辞典』1980,東京堂出版"。(http://www.tabiken.com/history/doc/M/M383L100.HTM経由)

前説

  • 美術史の世界では、奈良時代の後半を天平時代と呼ぶ
    • 首都が奈良に移った710年から京都に移る790年ごろまで続く
    • この時代、日本の美術はひとつのピークを迎える。ただし、下半身の造形はまだ未熟
  • 薬師寺 東院堂・本堂や法隆寺五重塔 塔本塑像が代表的
  • 塑像は仏像の作り方のひとつ。粘土でつくった仏像
    • 木彫像や金銅仏はお金がかかる。でも大量生産できる塑像は安く作ることができ庶民も仏像をもつことができるようになった
    • この時代、塑像が流行した。でも、この時代以降はあまり作られなくなった
    • もとは、木の少ない中央アジアでよく作られていた。それが、日本にも入ってきた
    • 日本には木仏が多い。これは、仏教伝来以前の民俗宗教の影響が多い。(例:御神木)
  • ほかにも、アジア世界には石仏が多い
    • 日本には石仏に適した石が少ないので、あまり日本にはない
    • 大分県臼杵の石仏が有名
  • ほかにも乾漆仏というものがある
    • まず塑像をつくって、布を巻く。そしてその布をウルシで固めたあと、中の粘土を抜く
    • 天平時代に流行した
    • 興福寺八部衆・十六弟子が有名
      • 八部衆のひとりに阿修羅がいる
      • 修羅とは阿修羅の阿が省略された言葉
      • 阿修羅は仏教における悪魔的な役割。対応するのは帝釈天
      • でも、仏を守っている

東大寺法華堂

  • 建物・仏像ともに天平時代のもの
  • 仏像は須弥壇のうえに安置されている
    • 須弥壇は須弥山をモチーフにした壇。須弥(semuru)山とは、仏さまの世界に通じていると言われる高い山
  • 安置されている仏像は不空羂索観音菩薩像
    • 観音菩薩はすべてのものを救う慈悲深い観音様
    • 観音菩薩は別名、変化観音と呼ばれ様々な姿を持っている。日本ではそのうち6個が有名
    • 6人いて、これで六道すべてを救うことができる
      • 六道とは、生命の存在形態
      • 天・人・阿修羅・畜生・餓鬼・地獄
      • 仏教の世界観では、神(天)も悩みがある。ただし、上位ほど悩みはすくない
    • 羂索は投げ縄。不空は"必ず"
      • 現在の解釈では"苦しんでいる人に対して、縄を差し出す観音"
      • オリジナルの意味は、縄で悪い人間を捕まえる厳しい観音と考えられている。ほかの観音とは異質な観音。
  • 不空羂索観音菩薩像の後ろに秘仏、執金剛神像が隠されている
    • 東大寺国分寺の総本山になるまえは、金鐘寺があったらしい。そこの本尊だったらしい
    • 金剛(vajra)というすべてを打ち砕く武器をもった神様の仏像
  • 不空羂索観音が安置されているのは、聖武天皇の奥さんの信仰に関係しているらしい
  • 不空羂索観音の横に月光菩薩日光菩薩が安置されている
    • この仏像は塑像
    • 記録にはないが、これはあとから付け足されたものと考えられている
    • そもそも、月光菩薩日光菩薩は薬師菩薩の横に置かれるはず
  • そのさらに横には、梵天帝釈天がいる
  • そのさらに横には、金剛力士像がいる
  • そして、法華堂の四隅には四天王がいる
  • 東大寺を作ったのは造東大寺司という専門の工事集団
    • 当然、国から給料が支給されていた